IoT活用で旧型設備を蘇らせダウンタイムを大幅削減事例のご紹介

  • 2021年1月13日

はじめまして、セカンドセレクションの井村です。
簡単に自己紹介をしますと、ソフトウェア開発でLinuxを中心に40年活動し、今後の事業活動として「IoTデータ活用」を進めていこうと考えてる経営者です。

IoTとしてPocで、いろいろと実施されている中、なかなか事業改善に結びつく事例が少ないですが、先日知り合いから教えてもらった事例が非常にわかりやすかったので、工場を運営されている中小企業の代表者の方の参考になると思い、この事例をご紹介します。

ただし、色々な記事から読み取った内容ですので、一部想像も含まれている点をご容赦願います。

対象の企業さんはどんな会社

1980年創業でMAを使い同業種の企業との吸収合併を経て資本金3億、従業員200名、売上30億の中堅半導体メーカーに成長さている中、2020年4月に社長交代と全世界にコロナが蔓延し工場の人材も出社抑制をしなければならないという状況になった。
新社長は大手半導体メーカのマーケティングのトップを経験された人材で企業の強みと弱みを把握できていた。


また、社員も少数精鋭の技術者で「データの見える化」による効果を理解(センシング分野で高度な識別、分析、制御が武器)できるという環境があった。
今後の事業としては、5G需要を見据えて2つ目の工場設立を進めており、既存事業の継続と効率向上は急務であった。

そのような創業40年の老舗中堅半導体製造メーカのIoT事例を紹介します。

困られていたことはどんなこと

25年も前の旧型装置があり、人手が多くかかっている点があった。
その中でも、現場で稼働している設備の記録機器にフロッピーディスクがあったり、ネットワークにつながらない機械が多かった。

また、日常業務として機械の保守点検を毎日人手でチェックしており、故障が発生したら原因究明と復旧作業で、長い場合は再開までに3週間程度かかり 障害発生時の生産への影響が大きいという課題があった。

ちょうど交代した社長の意識としては、「これでは将来の市場要望に応えられない。」という認識があり、旧式で置き換えが困難な償却済み設備を継続活用できないかという悩みがあった。

課題の設定と仮説立案

まずは、IoTを導入することで、現場にいなくても「設備状態の見える化」ができないか。

それによりダウンタイムの短縮と監視人員の削減を実現したい。

スタンドアロンの機械をネットワークに接続、センサーを利用し装置の適切なデータを計測しオンラインでクラウドにデータを蓄積することで、機器の異常を発見したり、遠隔地から運転状況を監視でき既存設備の延命に挑戦したい。

また、計測データで異常値があれば担当に連絡を送る事で、故障の早期発見ができ障害停止時間の短縮やチョコ停の発見が可能で製品の品質劣化を抑制できるのではと仮説を立てた。

どうやって実現したか

そこで25年使っている旧型の装置の延命化としてガス圧力とガス残量とガス流量、真空度、ポンプ負荷と高周波電力を計測しリアルタイムでクラウドに蓄積、異常があれば担当者にメールが届く仕組みを導入した。

本来のデータは、機密性が高いため社外へ出す抵抗感があるが、部門横断の部隊を社長からの肝いりで組織化し、セキュリティ面は他部門で実績のあるクラウドに任せることでIoTの課題に向き合えた。

また、データの収集は小型コンピュータのラズパイを利用して投資コストを抑制した

効果はどうなったのか

今回のIoTを導入することで、障害発生時の生産への影響を少なくすることができた。

具体的には、故障時のダウンタイムを従来の3週間程度から4日程度へと70%削減する効果が見込め、設備のチョコ停時間も従来の15分から5分へと70%短縮する事が可能で、これにより、年間約1億円の売上アップに匹敵する効果を見込むことができた。

構想から9カ月程度で、25年使っている製造設備を5年延命できるIoTの仕組みができ5年で約10億円の設備投資抑制効果を出す事ができた。

今後は、計測蓄積するデータを増やしながら、5年以内にAIを使ったデータ活用を目指されるそうです。

 

ラズパイを使ったIoTはこちらをご覧ください。

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